________ OLD 2016 「心の保健体育 」 1.基礎・セルフ編 _______ メンタルヘルス問題を予防するために hmaeda0207@pmhlab.com

メンタルヘルスに関する私たち(ヒト)の心、脳そして人間関係の仕組みを学び、「心の健康」を保ち「心を育てる」知恵を身につける「心の保健体育」

脳の生き延び機能 ・・・  不完全は情報から最悪の事態を予測し、リスクを回避して生き延びた 

 今回は、私たち(ヒト)の生き延び機能を説明します。

私たち(ヒト)は、ほんの些細な物音やちらりと見える情報からでも、敵に遭遇する最悪の事態を予測し、すぐに逃げる能力で生き延びてきました。

 

*** 脳の機能モデル 変化に対応して生き延びる情報処理機能 

 動物は生き延びるために、敵にやられず安全を確保する能力、エネルギーをとるために,エサをとる能力をいろいろなやり方で向上させてきました。
 身体の筋肉の能力を向上させて強くなることで、すばやい身体運動、力強い身体運動で、敵から逃げそしてエサをとる戦略があります。
 私たち(ヒト)は、この身体の能力が高くなかったので、かわりに脳の情報処理能力を向上させて、生き延びてきました。

 私たち(ヒト)の脳の機能をモデル化した図を下記の上半分に示します。

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 脳は環境に適応して生き残るために、下記のプロセスを行っています。
①身体感覚を入力 (五感などをフル活用)
②この入力から、記憶を活用して未来を予測、生き残る行動を判断
③身体運動の指示
④身体運動の結果をフィードバック
これは、次の予測・判断の入力になります。また記憶を更新しています。
 脳はこのフェードバックループをまわし続けて、敵から逃げる、エサを探す、
そして配偶者を探す、生き延び行動を行っています。

 

*** 脳は不完全な情報から、記憶を活用して予測する 

 上記の図の下半分の文章を、少し離れて、急いでいつもどおりに読んでみてください。 どうですか、ちゃんと読める自分の能力に驚きませんか?

 この能力は、文字が読めるようになったばかりの子供には出来ません。経験による記憶が必要です。 私たち(ヒト)は、記憶を活用して、不完全な情報からすばやく環境を認識しています。これで生き延びるための時間を確保しています、すごい能力です。

 

*** 脳は不完全な情報から、過敏に危険を認識する

 もうひとつ、生き延びるためのすごい能力があります。
それが、失敗しても死なない行動を選ぶ能力です。信頼性工学の用語でフェールセーフ機能といいます。
 不完全な情報から、本当は敵ではないのにすばやく敵と判断して逃げてしまう動物は、無駄なエネルギーは使いますが、死なないですね。フェールセーフです。
 逆に、本当は敵が近づいているのに安全と判断してしまう動物は、省エネですが、死んでしまう確率が高いです。なので、現在まで生き延びている確率は低くなります。

 

*** すばらしい機能には副作用もある

 私たち(ヒト)は、脳のこのすばらしい2つの能力で、弱肉強食の環境の中で生き延びてきました。しかし、この2つ能力には副作用もあります。

 予測機能の主な副作用はこの3点です。
①早とちりしてしまうこともある
②同じものを見ても、人によって体験が違うと認識する事実が異なる
③過去の体験の記憶が邪魔をして環境変化がわかりづらい"

 

 危険を察知する高い能力にも、副作用があります。
①少しでも危険(黒い)な情報があると、全部危険(真っ黒)と判断します。
つまり、グレーは全て真っ黒、最悪の事態と早とちりしてしまいます。
②そして、無駄な行動をし、無駄なエネルギーを使ってしまいます。

 

*** 自分と周りの人のために行動しよう!
 私の経験からも、「物事を良く見ないで悪く悪く感じてしまうこと」があります。周りにもそういう人を見かけます。これは、生き延びるための機能の副作用だったんですね。皆がそういう面を持っているんですね、なんだか安心しました。これは、いわば本能です、治せないですね。
 この自分の特性がわかれば対策がうてますね。
なんだか危険を感じたり、いやだな~と感じたとき、緊急性がある場合は本能に任せて逃げましょう。無駄なエネルギーを使うかもしれませんが、死なないですみます。

 

 しかし、時間があるときは、下記をじっくり考えてから行動しましょう。

①ゆっくり注意深くみる。(一文字づつよく見る)
②過去の経験に捉われるていないか、今の環境は過去と違っていないか?
③他の人の意見もちゃんと聞く
④面倒くさがらずに、何%黒いのか観察する。
(誰にでも白い部分・良い部分はあるはず、それを活かせないか考えましょう。)

 

これが出来ると、間違った行動や無駄な行動をすることが減らせます。

生き延びる確率がもっと上がります。

 

続く

 

資料  脳には妙なクセがある 他 、池谷裕二さん   ありがとうございます。