________ OLD 2016 「心の保健体育 」 1.基礎・セルフ編 _______ メンタルヘルス問題を予防するために hmaeda0207@pmhlab.com

メンタルヘルスに関する私たち(ヒト)の心、脳そして人間関係の仕組みを学び、「心の健康」を保ち「心を育てる」知恵を身につける「心の保健体育」

脳の形 ・・・ 私たち(ヒト)の頭の中には、自分、家族、社会に関する3つの脳が共存する

 今回から、メンタルヘルス問題に関連する、私たち(ヒト)の脳、心、人間関係などの仕組みを学んでいきます。そして心の病気を予防し、心の健康を保ち、心を育てる方法を考えていきます。

 

 今回は私たち(ヒト)の脳の形を学んでいきます。

*** 私たち(ヒト)の脳は爬虫類の脳、哺乳類の脳、霊長類の脳の三階層に積み重なって進化した

私たち(ヒト)の脳を下記の図に示します。

 

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私たち脳は、3つ層にわかれています。

*** 脳の中心の第一層は、旧脳と呼ばれ解剖すると爬虫類と同じ形をしています
動物は動くことで環境に適応し、エサをとり、敵から逃げ、配偶者を探して
自分を生き延びさせ、子孫を残します。
そのために、心臓や肺などの内臓や循環器をつかさどり身体の内側を主に担当する「脳幹」と、身体の運動をつかさどる「小脳」などが進化して出来上がりました。
この層は「自分に関する脳」で、生きる土台であり爬虫類と同じ機能です。
乱暴にいえば、私たちの脳には「爬虫類のわたし」が住んでいます。

 

*** 中間の第二層は、大脳辺縁系と呼ばれ哺乳類と同じ形をしています
哺乳類は、卵を産みっぱなしの爬虫類から進化し、子供を直接親が育てます。
子供を育てるためには、自分が食べる物も子供に与えます。
子供を守るためには、敵の前に自分の体を投げ出します。
この行動のもとになる子育て行動をつかさどる「大脳辺縁系」などが進化して出来上がりました。
この層は「家族(親子)に関する脳」で、爬虫類の脳の上に覆いかぶさっています。
私たち(ヒト)は、爬虫類の脳がつかさどる「自分」より、哺乳類の脳がつかさどる「家族・子育て」を優先します。
この脳は親になり、子供ができるとメインスイッチが入るようです。 
子育ては大変ですが、子供はかわいく、幸せ感情がわき、仕事をする意欲がわきますね。

 

*** 外側の第三層は、大脳新皮質と呼ばれ霊長類と同じ形をしています
霊長類は、社会的な動物です。環境の中で一人で生きていく力が弱いので、
仲間同士で助け合い、協同してエサをとり、敵から身体をまもって生き延びてきました。
そのために、お互いの感情を理解しあうためのコミュニケーション機能をはじめ、
社会(群れ)の中で生きていくための様々な機能をつかさどる大脳新皮質が、
進化して出来上がりました。
この層は、「社会に関する脳」で、爬虫類の脳、哺乳類の脳に覆いかぶさって大きな場所をしめています。
私たち(ヒト)は霊長類ですが、他の霊長類に比べて、この大脳新皮質の大きさが
群を抜いて大きく進化しています。
ヒトだけが言葉を使ってコミュニケーションします。文字を使って直接見えない相手とも、時間軸や場所の違いを超えてコミュニケーションできることが、大きな社会を可能としていると思います。


*** 自分と周りの人をよく見てみると
 私の心を観察してみると、自分を優先するとき、子供を優先するとき、
そして社会を優先するときが、波のように変化しているように見えます。

心に余裕がないときは、自分が優先になるように感じます。
 時にはどちらを優先するかで私の中で葛藤していることもあります。
自分を優先するか、家族を優先するか、会社の仲間を助けることを優先するか悩むときがあります。

 自分のやりたいこと、家族を守ること、そして会社の仕事と折り合を付けながら生きていくことは難しいですね。まさにストレスを感じる時があります。
 私たち(ヒト)の子育ては長いですね。ほとんどの哺乳類は1~3年で子育ては終わりですが、ヒトは15年以上も自立するのに時間がかかります。
自分と家族と社会の折り合いをつけるて生きることは難しく、そのためにこんな大きな脳と長い成長期間がかかるのだ思います。

続く

 

資料  脳図鑑21、小泉英明さん   ありがとうございます。

脳の生き延び機能 ・・・  不完全は情報から最悪の事態を予測し、リスクを回避して生き延びた 

 今回は、私たち(ヒト)の生き延び機能を説明します。

私たち(ヒト)は、ほんの些細な物音やちらりと見える情報からでも、敵に遭遇する最悪の事態を予測し、すぐに逃げる能力で生き延びてきました。

 

*** 脳の機能モデル 変化に対応して生き延びる情報処理機能 

 動物は生き延びるために、敵にやられず安全を確保する能力、エネルギーをとるために,エサをとる能力をいろいろなやり方で向上させてきました。
 身体の筋肉の能力を向上させて強くなることで、すばやい身体運動、力強い身体運動で、敵から逃げそしてエサをとる戦略があります。
 私たち(ヒト)は、この身体の能力が高くなかったので、かわりに脳の情報処理能力を向上させて、生き延びてきました。

 私たち(ヒト)の脳の機能をモデル化した図を下記の上半分に示します。

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 脳は環境に適応して生き残るために、下記のプロセスを行っています。
①身体感覚を入力 (五感などをフル活用)
②この入力から、記憶を活用して未来を予測、生き残る行動を判断
③身体運動の指示
④身体運動の結果をフィードバック
これは、次の予測・判断の入力になります。また記憶を更新しています。
 脳はこのフェードバックループをまわし続けて、敵から逃げる、エサを探す、
そして配偶者を探す、生き延び行動を行っています。

 

*** 脳は不完全な情報から、記憶を活用して予測する 

 上記の図の下半分の文章を、少し離れて、急いでいつもどおりに読んでみてください。 どうですか、ちゃんと読める自分の能力に驚きませんか?

 この能力は、文字が読めるようになったばかりの子供には出来ません。経験による記憶が必要です。 私たち(ヒト)は、記憶を活用して、不完全な情報からすばやく環境を認識しています。これで生き延びるための時間を確保しています、すごい能力です。

 

*** 脳は不完全な情報から、過敏に危険を認識する

 もうひとつ、生き延びるためのすごい能力があります。
それが、失敗しても死なない行動を選ぶ能力です。信頼性工学の用語でフェールセーフ機能といいます。
 不完全な情報から、本当は敵ではないのにすばやく敵と判断して逃げてしまう動物は、無駄なエネルギーは使いますが、死なないですね。フェールセーフです。
 逆に、本当は敵が近づいているのに安全と判断してしまう動物は、省エネですが、死んでしまう確率が高いです。なので、現在まで生き延びている確率は低くなります。

 

*** すばらしい機能には副作用もある

 私たち(ヒト)は、脳のこのすばらしい2つの能力で、弱肉強食の環境の中で生き延びてきました。しかし、この2つ能力には副作用もあります。

 予測機能の主な副作用はこの3点です。
①早とちりしてしまうこともある
②同じものを見ても、人によって体験が違うと認識する事実が異なる
③過去の体験の記憶が邪魔をして環境変化がわかりづらい"

 

 危険を察知する高い能力にも、副作用があります。
①少しでも危険(黒い)な情報があると、全部危険(真っ黒)と判断します。
つまり、グレーは全て真っ黒、最悪の事態と早とちりしてしまいます。
②そして、無駄な行動をし、無駄なエネルギーを使ってしまいます。

 

*** 自分と周りの人のために行動しよう!
 私の経験からも、「物事を良く見ないで悪く悪く感じてしまうこと」があります。周りにもそういう人を見かけます。これは、生き延びるための機能の副作用だったんですね。皆がそういう面を持っているんですね、なんだか安心しました。これは、いわば本能です、治せないですね。
 この自分の特性がわかれば対策がうてますね。
なんだか危険を感じたり、いやだな~と感じたとき、緊急性がある場合は本能に任せて逃げましょう。無駄なエネルギーを使うかもしれませんが、死なないですみます。

 

 しかし、時間があるときは、下記をじっくり考えてから行動しましょう。

①ゆっくり注意深くみる。(一文字づつよく見る)
②過去の経験に捉われるていないか、今の環境は過去と違っていないか?
③他の人の意見もちゃんと聞く
④面倒くさがらずに、何%黒いのか観察する。
(誰にでも白い部分・良い部分はあるはず、それを活かせないか考えましょう。)

 

これが出来ると、間違った行動や無駄な行動をすることが減らせます。

生き延びる確率がもっと上がります。

 

続く

 

資料  脳には妙なクセがある 他 、池谷裕二さん   ありがとうございます。

脳の成長 ・・・ 社会環境に適応する脳は、思春期にやっと出来上がる

 今回は、私たち(ヒト)の脳の成長を説明します。

MRIという装置で、脳の中の三次元の画像を撮影分析することが可能になりました。
皆さんの中にも、脳の人間ドックで自分の画像をご覧になった方もいらっしゃると思います。「あなたの海馬は3年前に比べて縮んでますね。物忘れがかなり進んでますね。」なんて言われたら大ショックですが、リアルな現実です。

 この脳の画像を5歳の子供から80歳を超える大人まで、16万人分を分析している研究機関があります。脳の形に加えて、認知力、生活習慣、遺伝子情報なども合わせたビッグデータの分析から、脳の成長に関する多くのことがわかってきました。
また、成長とは逆に、年齢とともに脳が縮んでいく老化に関しても多くの、ショッキングなことがわかってきました。

 

*** 自分、家族、社会的な脳の順に形つくられる
 私たち(ヒト)の脳の成長と萎縮に関する情報を下記の図に示します。

 

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脳は後ろから前に向かって作られていきます。
大脳皮質部分では、後頭葉、側頭葉、頭頂葉前頭葉の順番です。

 

後頭葉は視覚をつかさどる部分です。側頭葉は聴覚をつかさどる部分です。
この場所はゼロ歳児から成長が始まります。
生まれてすぐから、視覚・聴覚で環境を理解することを体験し、「学習と成長」で能力をどんどんアップしていきます。いろんなものを見せて、いろんな音を聞かせることが必要です。

 

頭頂葉は空間認知をつかさどる部分です。ここでは身体を使った3次現空間での動きを体験し、「学習と成長」で身体の動かし方の能力をアップしていきます。
3歳~5際ぐらいから本格的に運動能力、楽器たとえばピアノを弾く能力などがどんどん成長していきます。
子供達が自由に身体を動かせる環境を作ることが重要です。

 

*** 社会に適応する大人の脳は思春期過ぎに完成する

前頭葉は大人、社会性に関する総合力をはっきする部分です。
ここでは、コミュニケーション、相手が何を考えいるか洞察するなどの機能をつかさどっています。
また、多くの情報を総合してよく考える、そして判断をする。
計画を立てる、あちらをたてればこちらがたたづという難しい状況で決断する。
などの大人の機能もここでつかさどっています。

 

この前頭葉は思春期を過ぎる15歳ぐらいに形がやっと出来上がります。
15歳ぐらいから本格的に大人の体験を重ねて、これらの能力がどんどん成長していきます。高校生の時期がどんな大人になるかを左右する、本当に重要な時期になります。
多くの良い体験をすること、そして小さな失敗を数多くすることが必要です。

社会の中でよいつながりを持って生きていくには、よい人間関係の体験が特に必要です。

*** 脳の萎縮は大人の脳から逆回しで始まる
脳の画像から、萎縮は成長と逆回しに進んでいくことがわかりました。

残念ですが、まず社会的な大人の脳である前頭葉から萎縮が始まります。

 前頭葉が委縮すると、多くの情報を総合してよく考えるて判断をする、計画を立てる、難しい状況で決断する、などの大人の脳の機能に影響が出てきます。コミュニケーション、相手が何を考えいるか洞察するなどの機能にも影響が出てきます。

 

次に身体を動かす能力が落ちてきます。
そして、視覚や聴覚に関する脳の機能は最後まで残ります。

 

 最後に男性にはショックな情報をお知らせします。16万人の画像の分析からわかった情報です。脳の委縮は、男性は20代の半ばから、女性は50代の半ばから始まるそうです。

 

*** 自分と周りの人のために行動しよう!
 私自身の経験や子供たちの成長を見ていると、脳の成長の順番「自分→家族→社会」は納得できます。子供たちの年齢に合わせた、適切な良い経験と小さな失敗経験をさせることが親の努めでなんですね。初めてやることは失敗するのが当たり前です。親が口を出して失敗させないのは間違いですね。自由にどんどんチャレンジさせましょう。
 会社でも同じですね。社員の方の年齢に合わせた、適切な良い経験と小さな失敗経験をさせることが、よい育成なのですね。
 脳の萎縮開始年齢が、男性は20代半ばからですか、男のわたしにはショックです。

なぜだ~! か納得いきません。あくまで脳の形の問題で、質は画像には写りませんよね。ハードウエア的には小さくなっても、ソフトウエア的には・・(負け惜しみです) 

 うすうすわかっていましたが、女性をますます尊敬します。


続く

 

資料  16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ、瀧靖之さん ありがとうございます。

脳のエネルギー事情 ・・・ 脳は睡眠中も休みなく働き、大量のエネルギーを消費する

   今回は、私たち(ヒト)の脳は重さが体重の2%しかないのに、食べたエネルギーの18%も消費すること、睡眠中も休まずしっかり働いていることを説明します。また、脳をしっかり働かせるための食事などについて説明します。

 

*** 私たち(ヒト)の脳のエネルギー源 
 私たち(ヒト)の脳のエネルギーに関することをまとめたものを、下記に示します。

 

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 私たち(ヒト)の脳はおおよそ1.4Kg、体重の大体2%ぐらいです。
しかし、私たちが食事で取るエネルギー全体の18%を消費しています。
脳は起きているときも睡眠中もしっかり働いているので、エネルギー消費量が多いのです。

 脳はエネルギー源としてブドウ糖しか利用できません。ほかの身体組織は炭水化物、たんぱく質、脂質のどれでもエネルギーにすることが出来ます。脳はいろいろ特別なんです。

 脳の機能をアップさせる食事は、まずブドウ糖安定供給する「スローリリース」食品がオススメだそうです。ブドウ糖を血液中にゆっくりと放出する食品です。
野菜、きのこ、海藻類、大豆製品、魚介類、玄米ご飯、精製されていない砂糖 などです。

 次に、条件付おすすめ食品は「ファーストリリース」食品です。ブドウ糖をすばやく供給し、血糖値が一気に上昇する食品です。私たち(ヒト)は、多過ぎるブドウ糖を脂肪として蓄える良くできた機能があります。そうすると血糖値が一気に下がってガス欠状態となってしまいます。
 白い砂糖、お菓子、デザートがこれにあたります。残念ですが、白いご飯、白いパン、うどん、もちなども該当します。手間をかけた甘いものや手間をかけて白く精製したおいしいものです。
 これらは、すぐに脳にエネルギー供給して「快」ですが、しばらくすると脂肪にかわって、ガス欠状態になり、また食べたくなるという、ちょっと危ない面もあります。気をつけて食べないといけませんね。
 < 短期的な「快」を求めて自然な状態に手を加えすぎると、長期的には肥満になり頭も働かなくなるということですね。 なんだか、怖いですね、文明社会の滅亡のプロセスのようです。 >


*** 脳は睡眠中も休みなく働きエネルギーを消費している
 私たち(ヒト)の脳は、睡眠中も休みなくしっかり働き、エネルギーを消費し続けています

 意識が寝ている間も、全身に血液を贈り続ける心臓や、酸素を取り込む肺、また体温などを眠ることなくコントロールしています。
また、意識が寝ている間も、身体感覚の一部の入力を処理しています。目覚ましで起きられるのは、聴覚が処理されているからです。触られても起きてしまいますね。
大脳では、意識が寝ている間に、今日の入力情報を整理し、過去の記憶と整合性をとって、未来に使える記憶を創造しています。

 脳にとって睡眠は休みではなく、睡眠中しかできない積極的な役割があり、多くのエネルギーを使っています。

 

*** 脳は朝食抜きでは働けない
  私たち(ヒト)の肝臓はブドウ糖の元になるグリコーゲンを蓄えることができます。たとえるの脳のガソリンタンクです
 このタンクの貯蔵能力は12時間分です。夕方7時に食事をしたら翌朝7時にはエネルギー切れとなります。朝食を抜いて、職場に行くのはガソリン不足、予備タンクで走るようなものです。午前中を無駄使いすることになります。

 

*** 脳は睡眠中にだけ老廃物を回収できる
 脳には、常時老廃物を回収するるリンパ管がありません。
頭蓋骨の中が脳でいっぱいになって、リンパ管を通す空間が内容です。
 脳では睡眠中にだけ、血管の外側を脳脊髄液を流すことで老廃物を回収するという、特別なシステムがあることが、このごろわかってきました。
 脳では、多くのエネルギーを使って活発に活動するため、その老廃物も多いことが予想されます。その回収システムが睡眠中にしか動いていないということです。
 ちゃんと寝ないと脳は、老廃物にまみれていて、すっきり動かいということになります。

 

*** 自分と周りの人のために行動しよう!
 私の経験からも、納期が心配で無理して睡眠不足でした仕事は、効率も品質も良くないですね。翌日、寝た後にすっきりした頭で結果をみたら、結局やり直しで無駄だったという経験も沢山あります。脳の仕組みを知っていたら、まずは寝てしまうことが生産性も品質も良く、健康にも良いということですね。

 今後は、自分も周りの人にも、「疲れたら焦らずゆっくり寝ればうまくいくから心配するな」と言うことにします。

 

続く

 

資料   健康・ダイエットBOOK  脳力アップのためにできること、タニタの健康ネット  からだカルテ   さん  ありがとうございます。