脳と睡眠 ・・・ 睡眠中に疲労回復+記憶を整理、問題も解決!
今回は、私たち(ヒト)の脳が睡眠中に何をしているかについて説明します。
脳は睡眠中でも活発に活動し、記憶の統合、そしてなんと問題解決案も考えています。
*** 脳の睡眠リズムと疲労回復
脳の睡眠中のリズムと活動している事をまとめたものを下記に示します。
私たちは睡眠中に、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しています。
レム睡眠とは英語でRapid eye movement sleep, REM sleepm、つまり急速眼球運動を伴う睡眠です。
「レム睡眠」は浅い眠りで、身体は深く眠っていますが、脳は活発に動いている状態です。脳は働いているのでこの時目覚めるとすっきり起きられます。
ノンレム睡眠」は深い眠りで、脳も休んでいる状態です。ストレスを消去したり、ホルモンの分泌をしています。
図から分かるように、レム睡眠は入眠後1.5時間、3時間、4.5時間、6時間、7.5時間の周期になっています。このタイミングが自然に目覚める時間になります。
その間にノンレム睡眠があります。入眠の初めは深く、後になるとだんだん浅くなります。このタイミングで、脳は溜まった老廃物を排出し、ストレスを消去し、疲労回復します。
*** 記憶の整理統合
脳は睡眠中に、今日体験したいろいろな情報を整理し、関連する過去の記憶を呼び出し、それと今日の体験を矛盾しないように統合した上で、新しい記憶を創造しています。つまり、昔の記憶を今の環境に合わせて、新たに書き直しているんです。
未来に生き延びるために使える記憶が必要だからです。いらない記憶は捨てることも起こります。
記憶モノの勉強は睡眠前にするのは今や予備校では常識です。私も受験当時、脳科学の知識があればもっと歴史や英語の成績があがったかも。残念です。
*** 問題解決(案)は睡眠中に考える
脳は未来に生き延びるために、もうひとつとても大事な仕事を睡眠中にしています。
それは起きている通常モードでは難しい、複雑な問題を解決する「逆モデルシミュレーション」です。
起きているときは、環境の変化を認識し、この後どんな行動をとれば何が起きるかを予測する「順モデルシミュレーション」をして、生き延びるための行動を、即断でしています。
我々の問題解決は逆で、求める結果を出すために、その前にどんな環境で何をするとその結果が出るのかをゆっくり考える行為です。つまり時間を逆回しする「逆モデルシミュレーション」です。
順モデルシミュレーションと逆モデルシミュレーションは同時に行うことは出来ません。起きているときに考えようとすると、立ち止まって上か下を向いて眼をつぶり、環境情報の入力を遮断し順モデルシミュレーションをとめないと出来ません。
睡眠中は入力情報がないので、脳は先ほどの記憶の再編モードに加えて、難しい問題を考える「逆モデルシミュレーション」モードなんです。私たちは、難しい問題は通常寝ているとき考えて解決策を出しているんです。
*** 自分と周りの人のために行動しよう
通常の勤務時間のあと、残業して解決案を考える行為は、脳科学から見ると疑問が多いです。大きな間違いのようです。
1.脳は昼間の整理されていない情報であふれている
2.脳は疲れていて老廃物があふれている
3.その上食事をとっていない場合は、エネルギー不足です
脳科学的に効率よく問題解決する方法は下記です。
①.夕食はしっかり食べる。出来れば「スローリリース食品」をとる。
②.寝る前に問題をもやもやと考える
③.ゆっくり寝る。6時間は寝ましょう。
(酔っ払って寝ると、アルコールの解毒にエネルギーがとられて、良くありません。
記憶の再編も、問題解決も充分出来ません)
④.翌朝メモ帳をもって歩く。足のポンピング効果で脳に血流が流れやすくなります。
⑤.無意識から意識に解決案がすっと降りてきます(ひらめきます)。
忘れないようにメモしましょう。
私の経験では、納期が近いと不安なのでついつい残業してしまいます。しかし、残業して作った資料を、一晩寝て翌朝見てみると書き直しがたくさんあります。残業で作ったプログラムの品質はもっと気になります。
アルコールは飲まずに、しっかり食事してリラックスして寝ることが、問題の整理統合と解決案を考える方法です。自分の脳を信じて実践してみてください。驚くような結果が得られますよ。
続く