脳の処理能力低下 ・・・ 脳は睡眠不足、エネルギー不足で、処理能力が低下し心が弱くなる
今回は、私たち(ヒト)の脳が、疲労やエネルギー不足で処理能力が落ちると、大人の機能が発揮できない、弱い子供の心になってしまうことを説明します。加齢や病気などで、脳の処理能力が落ちても同様で、言動が子供に戻ってしまいます。
*** 子供と大人の脳の機能の比較
私たち(ヒト)の脳が成長し処理能力が上がって、大人になってできるようになる機能を、子供と比較した図を下記に示します。
*** 大人は周りを同時に見る、複数の役割に対応することができる
子どもは、1つのことで心がいっぱいになってしまいます。遊びに夢中になってボールを追いかけ、道路に飛び出してしまう状態です。大人になって、処理能力が上がると複数のことを同時に情報処理することが出来ます。周りが見えるという状態です。
子供は1つの役割しか考えませんが、大人になると複数の役割を切り替えてできるようになります。親の役割、夫の役割、会社での役割、友達の役割、自治会での役割など、それぞれの役割の今までの経緯をそれぞれ記憶していて、それぞれスムーズスムーズにこなすことが出来ます。考えてみればすごい能力ですね。
*** 大人は白か黒か断定できないグレーな現実に対応できる
子供は、いいか悪いか、白か黒がはっきりした状態を認知します。こどもは純粋という表現も出来ます。大人になると、「清濁併せ呑む」、つまりグレーな状態をちゃんと認知できます。
私たちの環境はグレーです。いろいろな思いの人がいます。同じ人でも時と場合で違ったことを言ってきます。あの人はいい人だから好き、悪い人だから嫌い、というような単純な世界ではありません。あの人はこんなところは信用できるけど、別のところはちょっとね認識して、うまく付き合う必要があります。
まさに大人になると処理能力があがって、グレーなことをうまく情報処理できるようになります。
【情報量で表すと、白黒は1ビット、4種類の色(真っ白、白に近いグレー、黒に近いグレー、真っ黒)を扱うには2ビットが必要です。8種類の色だと3ビットが必要です。この場合、大人は子供の3倍以上の処理能力が必要ですね。】
*** 大人は諸行無常(時間軸、空間軸の変化)に対応できる
時間軸で見ると、子供は今がダメだとずっとダメと思ってしまいます。今がいいとずっといいと思ってしまいます。大人は、未来は今とは違うと考えることが出来ます。その上で、脳は悪いほうに考えがちですから、大人は心配性なんですね。
空間軸でも、子供はこれがダメだと全部ダメ、これが出来ると何でもできると思いがちです。子供の根拠のない自信はここから来ていると思います。この思い込みは大切なときもあります。危険なときもあります。大人はそうではないことを考えることが出来ます。
人間軸で見ると、子供は自分が好きなことはみんな好き、自分が嫌いなことはみんなが嫌いと思い込んでしまいます。なぜ、あなたはこれが嫌いなの なんて質問しちゃいますね。大人はいろいろな人がいることを認識でき、考えることができます。
*** 大人は人のために、未来のために我慢できる
優先順位で見ると、子供は今、自分のしたいことが1番です。目先の利益が最優先です。家族のため、社会のため、とはなかなか考えることができません。これを考えた言動が出来るようになるのは高校生ぐらいからだと思います。これが出来ると、本当に大人だなーと感心します。
大人になると自分のやりたいことを自発的に我慢することが出来ます。心に余裕ができ、家族のため、社会のために行動することが出来るようになります。この行動は信頼や尊敬を生み、長期的にめぐりめぐってその人の利益になる確率も高いです。
これらの言動が出来ないと、社会的な動物である私たち(ヒト)の環境には適応できません。すごく難しいことなので私たちは15年~20年かけて、多くの失敗と成功の体験をし、学習し成長してやっと大人の仲間入りが出来るんですね。
*** 疲労、エネルギー不足、病気で脳の処理能力が落ちると子供になる
大人の脳も、疲労や、エネルギー不足、病気で処理能力が落ちると子供状態になってしまいます。つまり、
①1つのことで心はいっぱいなって、思い込む・捉われてしまう状態になります。
②なかなか役割を変えて心を切り替えることが出来なくなります。
③少しでも黒がはいったグレーは真っ黒に感じてしまいます。
④ずっとダメだ、なんでもダメと思い込んでしまいます。
⑤周りの人がみんな黒(敵)に思えて、相談が出来なくなります。
*** 自分と周りの人のために行動しよう!
皆さん、「私はこんなこと全部は出来ない!まだまだ子供だ」と悲観しないでください。周りの大人はグレーを認識する能力があります。皆さんが100点(真っ白)でないことはわかっています。いいところも悪いところもあるグレーが普通の状態です。
私たち大人は周りの人と接するときに、この人のこの部分は信頼する、この部分は心配してよくみるを無意識に認識し使い分けています。お互い様ですから大丈夫です。
続く