心のモデル ・・・ 知・情・意、記憶と学習、意識と無意識
この図は、私たちの「心」とはなにかをモデル化したものです。前野隆司さんという脳科学者の方が考えたものです。いろいろな本を読みましたが、私にはこれが理解しやすかったです。
*** 知・情・意 ***
1.知は、知覚、知性をあらわし、外界を認識する機能です。心へのインプット機能です。
2.情は、感情、情動をあらわし、インプットに対してどんな気持ちになるかです。心の判断機能です。
3.意は、意図、意思をあらわし、判断に基いて何をするか、身体をどう動かすか決めます。心のアウトプット機能です。
*** 記憶と学習 ***
私たちは体験を、未来に役立つように記憶します。次に同じような状況を知覚したときに、次に何が起きるか予測するために、記憶を使います。
未来が予測できれば、より速く敵から逃げたり、エサを捕まえるのに有利です。私たちの生き延びる確率が上がります。進化の過程で記憶による予測機能を身につけました。
記憶には3種類の記憶があります。
1.非宣言方記憶:自転車の乗り方など、身体の動かし方に関する記憶です。これは、言葉であらわすことは出来ません。意識では取り扱うことが出来ません。
主に運動を司る小脳に記憶されています。歩き方、もののつかみ方なども学習が必要です。歩き方でも、平地、上り坂、下り坂いろいろなバリエーションがあり、経験から学習し状況ごとの記憶がないとうまく歩けません。
2.辞書記憶:まさに辞書のような記憶です。しかし言葉で引くと意味が書いてある(言葉→意味)わけではありません。記憶しているのは、Aの次にBが起きた、そのときの感情はどうだったかがセット(A→B+感情)になっています。林で大きなガサガサ音のあとに、トラが出てきて怖かった。小さなガサガサ音のあとには、ウサギが通っておいしそうだった、などです。
この記憶があると、次に林で大きなガサガサ音を聞けば、次にトラが出てきて怖いことが起きるかもしれないを予測でき、事前に逃げて生き延びることが出来ます。学習と記憶の力です。
3.エピソード記憶:日記記憶とも呼ばれています。自分におこったエピソードを時間軸順に記憶していきます。昨日どんなエピソードがあったか、1年前に何があったか、子供のころにどんな体験をしたかを記憶します。前に説明した辞書記憶には「自分がいつ」体験したかは記憶されてはいません。
この記憶は、複数の役割を切り替える時に活用します。家族と一緒のときには昨日までこんなエピソードがあったので、こんな話が通じる。会社では仲間と一緒に昨日までこんなエピソードがあったので、今日はその続きのこんな仕事をする必要がある。趣味の仲間とは先月までにこんなエピソードがあったので、今月はこんな活動をしよう。などの情報処理をすることが可能です。
この記憶は、自分の人生そのものですね。この記憶がなければ、自分が何者かわかりませんね。この記憶は人間にしかないのではないかとも言われています。
*** 意識と無意識 ***
状況を知覚して、感情で判断して、何をするか意図して身体を動かす。このプロセスには2種類あります。ひとつは意識してこのプロセスを行う場合と、無意識で気づかないうちに行われている場合です。
私たちは、無意識に多くのことを行っています。車の運転でも、いつもの道では、家族との会話に夢中になっていると、いつの間にかついていたということが起こります。学習した記憶を使って無意識に運転しているのす。
これに対して、初めていく場所への道順は記憶がない(学習していない)ので、意識のプロセスをいっぱい使って、注意しながら状況を判断して運転します。だから、初めての場所は疲れるんですね。
*** 自分と周りの人のために行動しよう! ***
生き延びたり、物事にうまく対処するには、体験して学習して脳の中に記憶を作ることが必要なんだな。何回も経験して、無意識に出来るようになれば、疲れないでできるんだね。
どんどん外に出て行動して、体験をたくさんしよう!難しい人間関係も、仕事もたくさん経験して無意識にうまく出来るようになろう。
続く 2016/11/4更新
資料 脳はなぜ心を作ったのか 前野隆司さん ありがとうございます。