意識(心)で身体は動かない ・・・ 無意識、意識、動く(時系列の誤解)
この図は、「意識(心)で身体は動かない」という、私たち(意識)には信じられないことを裏付ける実験を説明したものです。
*** 米国 リベット博士の実験 1983年 ***
この実験は、人が指を動かす際に、脳のどの部分がどんなタイミングで活性化するかを計測した実験です。この結果は発表当時に、そんなバカなことはない、実験の間違いだとまったく世の中に受け入れられませんでした。しかし、他の科学者達による追実験で再現性が確認され、長い期間をへて今では認められています。
指を動かす際に、もっとも早く活性化するのは旧脳(無意識)の指を司る部位です。その0.5秒後に指が動きます。大脳の指を動かすと意識する部位の活性化は、実は旧脳の活性化の0.2秒後に計測されます。
これを意識の視点で見ると、指を動かすと意識すると0.3秒後に指が動いたと感じられます。毎回これが起きるので、意識は自分が指が動かそうと思うので指が動くと思い込みます。この関係は次のようになります。
A「意識→指が動く(0.3秒後)」 (意識の視点の感覚)
しかし、客観的な計測では、無意識の指を動かす部位が活性化すると、その信号が0.2秒後に意識に届いて活性化しています。これをあらわす関係は次のようになります。
B「無意識→指が動く(0.5秒後)」
C「無意識→意識(0.2秒後)」
私たちの身体は、緊急事態では意識とは関係なく動いて自分をまもります。スポーツでは身体が勝手に動くことは、よく実感することです。
*** イタリア ガリディ博士の実験 2008 ***
この実験は、人の目の前のモニタに様々な映像や単語を表示して、すばやく反射的に、良いものには〇のボタン、悪いものにはXのボタンを押してもらうというものです。
このすばやい行動の結果は、たびたび事前にゆっくり答えてもらったアンケート結果と乖離します。なぜ違うのかを後でゆっくり聞くと、人は自信満々に理由を後付で説明します。この結果は次のように説明できます。
B「無意識で身体は動く」
C「意識は無意識に動いた結果をみて、その理由を後付で作り出す」
*** 私達ヒトの行動と意識、無意識の関係 ***
2つの違う実験からわかる、私達ヒトの行動と意識、無意識の関係は下記となります。
B「無意識で(すばやく、反射的に)身体は動く」
C「意識は無意識に動いた結果をみて、その理由を後付で作り出す」
この結果は、私達(意識)の 今までの感覚とは大きな違いがあります。
天動説と地動説ぐらいの衝撃があります。「私達はこの大地が回っていることなど一度も実感したことはない、天が回っているようにしか絶対見えない!」。これも真実です。地球の上に視点を置けばこの実感は科学的に当たり前です。
地球の外に視点を置けば、地動説は科学的に当たり前のことですね。今まで、生きてきて実感したことはありませんが、惑星の動きの観察やロケットは、地動説が正しいことを証明しているようです。
*** それでも信じられない人のために ***
それでも信じられないヒトのために、1つ目の実験からわかる違う関係を説明します。
D 「意識は、指が動く(0.3秒)前にそれを知っています。」
(なので、意識は指が動くことを止める・じゃますることが出来る)
いかがですか、この関係があれば、自分の行動の実感とあってきませんか?
この関係は、アメリカの暴行事件の判決でも実際に使われています。
リベット博士の実験結果をしっていた弁護士が、意識で暴行を加えていないので無実と主張しました。その際、裁判官は意識で暴行を止めることは出来たのにしなかったので有罪という判決を出しています。
また、スポーツで意識が邪魔して練習の結果が出ないのもこの関係です。私もゴルフでいやというほど実感があります。
*** 自分と周りの人のために行動しよう! ***
仲間にも腹が立って、反射的に文句を言ってしまうことがあります。自分の中の無意識君が、感情に従って自分の口を動かしているんですね。自分の中の意識君はその結果に驚いて、自分を守るために正当化する理由を作り出して、相手が悪いんだと思い込んでしまいます。
そして、この思いを口に出してしまうと怒りの悪循環が止まらなくなります。相手も自分を守るために、どんな理屈でも作り出しますからね。結果は子供のケンカです。これでは助け合う仲間関係が壊れてしまいますね。
自分と周りのために、無意識君の悪い言動を意識で一旦止めて、ゆっくりと冷静に考えることを出来る限りやります。結局、未来の自分に得が返ってくるんですから、ゆっくり冷静に考えましょう!これができるのが大人ですね。
続く (2016/11/07更新)